海岸近くで過ごす方・暮らす方は、マイカーへの塩害が気になりますね。海からの風に含まれる塩分が車に与える影響は深刻です。しかし適切なケアと予防策を実践すれば、愛車を長く美しく保つことができます。今回は、そのノウハウを解説します。
海から吹いてくる風には塩分が多く含まれており、この潮風が車に当たると、さまざまな悪影響を及ぼしてしまいます。その主な例をみていきましょう。
部品のサビ
車は鉄やアルミニウムなど、さまざまな金属部品で構成されています。これらは、塩分を含んだ空気や水にさらされると化学反応を起こし、徐々にサビていきます。
特に鉄は塩分と接触すると酸化が促進され、サビやすくなります。初めは小さな赤茶色の斑点から始まりますが、放置すると腐食が進行し、金属部分が徐々に薄くなったり、最悪の場合は穴が開いてしまったりすることもあります。
ボディパネルの腐食は見た目の問題だけでなく、車の強度や安全性にも関わる深刻な問題です。車の骨格部分が腐食すると、事故の際の衝撃吸収性能が低下するなど安全面でのリスクも高まります。
車の故障
塩害による影響は外観だけでなく、車の機能面にも及びます。特に注意が必要なのは車の足回りの部分です。
車の下部に位置するサスペンション、タイヤ周り、ブレーキ部品、ステアリング機構などは、常に路面からの跳ね上げや塩分を含んだ水しぶきにさらされやすい場所です。また、飛び石などで塗装が剥がれやすく、日常的に目にする機会が少ないため、サビに気づきにくいという特徴があります。
足回りのサビは走行性能の低下や部品の耐久性低下を招き、最悪の場合はブレーキ系統の故障やステアリング機構の不具合など、重大な事故につながる可能性もあります。例えば、ブレーキラインが腐食して液漏れを起こすと、ブレーキの効きが悪くなったり、完全に機能しなくなったりする危険性があります。
擦れや小さな傷
海風に含まれる塩分だけでなく、風に運ばれてくる砂も車に悪影響を及ぼします。海岸近くでは砂と塩分が混ざった状態で車のボディに付着することが多く、この汚れは通常の雨では簡単に落ちません。
風で運ばれてきた細かい砂は、微小ながらも車の表面に傷をつける原因となります。このような小さな傷が増えていくと、車の塗装面が全体的に曇ったように見え、光沢が失われていきます。
また、塩分と砂の複合的な影響により、車の塗装の劣化が促進されます。塗装が劣化すると紫外線などの外部要因から車体を守る機能が低下し、さらなるダメージにつながります。窓ガラスにも影響があり、塩分が付着して乾くと白い斑点状の曇りとなって視界を妨げることもあります。
車の価値が下がる
塩害によるダメージは、車の資産価値を大きく損なう要因となります。サビや部品の劣化が見られる場合、売却時の査定額に直接影響を及ぼすでしょう。
なかでも、外から見えるボディ部分のサビは、査定時に厳しくチェックされる項目で、状態によっては大幅な減点対象となります。また、足回りやフレームの腐食は修復が困難なため、車両の価値を著しく下げる原因ともなるのです。
塩害の影響を継続的に受け続けると、車の寿命も縮まります。適切なメンテナンスを行わずに放置した場合、通常の環境で使用する車に比べて、寿命が数年短くなることも珍しくありません。愛車を長く乗り続けたい方にとって、塩害対策は必須の取り組みといえるでしょう。
海風や潮風による車への影響は深刻ですが、適切な対策を講じることで塩害を軽減し、愛車の寿命を伸ばすことができます。日頃からのちょっとした心がけが、将来的な大きな修理費用や価値の低下を防ぐカギとなります。
こまめに洗車する
塩害対策の基本は、こまめな洗車です。海辺でのドライブ後や潮風が強い日の後には、できるだけ早く洗車を行いましょう。塩分が車体に付着したまま長時間放置すると、腐食が進行しやすくなります。
特に重要なのは下回りの洗浄です。見えにくい場所ですが、路面からの跳ね上げを直接受けるため塩分が蓄積しやすく、サビの発生源となりやすい箇所です。可能であれば、下回り専用の洗浄ノズルや高圧洗浄機を使って、泥や塩分をしっかり落としましょう。
洗車後は、水滴を丁寧に拭き上げて十分に乾燥させることも大切です。拭き残しがあると、その部分からサビが発生する可能性があります。マイクロファイバータオルなど吸水性の高いものを使うと効果的です。
また、定期的なプロによるメンテナンスも有効です。プロの洗車サービスでは、一般的な洗車では手の届きにくい所まで丁寧に洗浄してくれます。
車に潮風が当たらないようにする
もっとも効果的な対策は、そもそも車に潮風が当たらないようにすることです。可能であれば、車庫やカーポートに駐車して、直接風に晒されるのを避けましょう。
屋外に駐車する場合は、カーカバーの使用がおすすめです。防水性と通気性を兼ね備えたカバーを選ぶことで、塩分や砂から車を守りながら、湿気がこもって逆効果になることを防げます。海辺の住居では特に、紫外線カット機能付きのカバーを使うと、塗装の劣化防止にも役立ちます。
また、車を停める際には、ドアや窓を確実に閉めておくことも大切です。少しでも隙間があると、塩分が内装にも侵入し、電子機器の故障や劣化の原因となります。
コーティングやワックスを施す
車の表面に保護膜を作るコーティングやワックスも、塩害対策として非常に効果的です。これらの保護膜は水をはじく撥水効果があり、塩分や汚れが直接車体に付着するのを防ぎます。
ワックスは比較的手軽に施工できますが、効果は1~2か月程度と短めです。一方、ガラスコーティングやセラミックコーティングなどの専門的な施工は、半年~数年と長期間の保護効果が期待できます。
特に海辺に住んでいる方や頻繁に海岸へドライブする方は、プロによる高耐久のコーティング施工を検討すると良いでしょう。初期費用はかかりますが、長期的には車の保護と価値維持に大きく貢献します。
海沿いに住んでいる場合、通常よりも頻繁に洗車を行う必要があります。自分で洗車をする際には、下記の手順に沿って丁寧に行いましょう。
1.水洗いをする
まずはホースや高圧洗浄機を使って、車全体の汚れを水で流します。特に下回りや泥除け、タイヤハウスなど、砂や塩分が溜まりやすい場所を重点的に洗い流しましょう。
高圧洗浄機を使うと、通常のホースでは落としきれない頑固な汚れや、細かい隙間に入り込んだ塩分も効果的に除去できます。ただし、あまりに近距離から強い水圧をかけると塗装を傷める可能性があるため、適切な距離を保って洗浄することが重要です。
この段階では洗剤は使わず、まずは水だけで大まかな汚れを落とすことに集中します。
2.洗剤でボディを洗う
水洗いの次は、カーシャンプーなどの専用洗剤を使ってボディを洗います。バケツにぬるま湯と適量の洗剤を入れ、しっかり泡立てましょう。洗車用のスポンジや手袋に泡を含ませ、上から下へ、優しく丁寧に洗います。
タイヤやホイールは専用のブラシを使って磨くと効果的です。ホイールには特に道路の塩分や砂、ブレーキダストなどが付着しやすいため、専用のホイールクリーナーを使うとより効果的に汚れを落とせます。
洗う際は、一度使ったスポンジの部分で別の場所を洗わないよう注意しましょう。砂などの粒子が付着したスポンジでボディを擦ると、小さな傷の原因になります。
3.洗剤と汚れを水で流す
洗剤が乾燥する前に、しっかりと水で洗い流します。洗剤が乾いた状態で放置すると、それ自体が新たな汚れとなり、シミの原因になることがあります。
この際も上から下へと流すようにし、すすぎ残しがないように注意しましょう。特に海辺に住んでいる方は、車の下回りの洗浄も重要です。塩害は車の下部に発生しやすいため、可能であれば車の下に潜り込んで洗浄するか、高圧洗浄機を使って下回り専用のアタッチメントで洗浄するのが効果的です。
シャワーノズル付きのホースでも代用できますが、下回り全体を効果的に洗うには高圧洗浄機の使用がおすすめです。
4.タオルで水滴を拭き上げる
洗浄後は、吸水性の高いマイクロファイバータオルなどを使って、水滴をしっかり拭き取ります。拭き残しがあると、乾いた後に水垢として残り、見た目を損ねるだけでなく、その部分から腐食が始まる可能性もあります。
拭き上げる際は、タオルを強く押し付けずに軽く滑らせるようにし、傷をつけないよう注意しましょう。また、ドアの隙間や取っ手の周り、エンブレムの周辺など、水が溜まりやすい場所は特に丁寧に拭き上げることが大切です。
5.コーティング剤やワックスで仕上げる
最後に、必要に応じてワックスやコーティング剤で仕上げます。これらは単に見た目を良くするだけでなく、塩分や紫外線から車体を守る保護膜としての役割も果たします。
ワックスは比較的手軽に施工でき、1~2か月程度の保護効果があります。一方、液体ガラスコーティングなどのより高耐久な製品を選べば、半年程度の長期にわたって車体を保護できます。
施工の際は、車体が完全に乾いた状態で行い、直射日光の当たらない場所で作業するのがポイントです。ワックスやコーティング剤の使用頻度は、海辺での使用頻度や駐車環境によって調整すると良いでしょう。
車の塩害対策は日々の小さな積み重ねが重要です。特に海辺での生活やドライブを楽しむ方は、これらの対策を習慣化することで、愛車を長く美しく保つことができるでしょう。
まとめ
海風や潮風に含まれる塩分は車体のサビや故障、価値低下を引き起こします。対策として定期的な洗車、カーポートの活用、コーティング施工が効果的です。日々のメンテナンスで愛車を長く美しく保ちましょう。
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