車のカスタマイズとして人気が高まっているデイライト(昼間走行灯)。安全性向上だけでなく、スタイリッシュなフロントフェイスを演出できることから愛車家に注目されています。しかし、後付けする際には車検に通るかどうかが重要なポイントとなります。今回は、デイライトの基本知識から車検適合のための詳細な基準まで、愛車をスタイリッシュにカスタマイズしたい方に必要な情報をわかりやすく解説します。
デイライトは車検に通る?
デイライトとは、デイタイムランニングライト(Daytime Running Light)の略称で、昼間走行灯とも呼ばれています。車が走行中、常に点灯するライトのことを指します。
デイライトは、もともと交通量が比較的少ない道路において、車同士の存在を周囲に早くから知らせる安全装置として欧州で普及しました。現在、欧州では交通安全向上のためにデイライトの装着と点灯が義務化されています。
日本でもデイライトを装着する車が増えてきましたが、その理由は安全性だけではありません。車のフロントフェイスをスタイリッシュに見せる効果もあり、カスタムパーツとして後付けする愛車家も多いのです。
日本において、2016年の道路運送車両の保安基準改正によって、デイライトの要件が明確に定められました。この基準を満たしていれば、車検に通ることができます。ただし、後付けする場合は要件が守られているか注意が必要です。
なお、日本ではデイライトの取り付けは義務ではないため、装着するかどうかは車オーナーの判断に委ねられています。
デイライトの車検をする際に守るべき保安基準
デイライト(昼間走行灯)の保安基準は、国土交通省によって明確に定められています。車検を通過させるためには、さまざまな基準を満たす必要があります。例えば灯光の色、明るさ等については次のように定められています。
・昼間走行灯の光度は、1,440cd以下であること
・昼間走行灯の照射光線は、他の交通を妨げないものであること
・昼間走行灯の灯光の色は、白色であること
・昼間走行灯は、灯器が損傷し、又はレンズ面が著しく汚損していないこと
・昼間走行灯は、レンズ取り付け部に緩み、ガタ等がないこと
・昼間走行灯の照明部の大きさは、25cm²以上200cm²以下であること
出典:国土交通省「道路運送車両の保安基準」第202条の2」
これらの項目について、詳しくみていきましょう。
光度と照射光線
デイライトの光度については、1,440cd(カンデラ)以下と定められています。カンデラとは光の明るさを表す単位で、1cdはろうそく1本分の明るさに相当します。この基準を超えると、対向車のドライバーや歩行者に眩しさを与える可能性があります。
「昼間走行灯の照射光線は他の交通を妨げないものであること」という基準は、対向車や歩行者に迷惑をかけないような光の照射方向や強さを意味しています。また、方向指示器(ウインカー)の視認性を妨げないことも重要です。
後付けデイライトを選ぶ際は、製品の光度が基準内であることを確認するとともに、取り付け後の光軸調整にも気を配りましょう。
灯光の色
2016年の規定改正後は、デイライトの色は白色のみが許可されています。以前に製造された青色や他の色のデイライトを装着する場合は、車検に通らない可能性があるため注意が必要です。
白色の範囲の目安は、一般的に3,000ケルビン~6,000ケルビン程度とされています。ケルビン数が大きくなるほど光の色は青白くなりますが、あまりにも高いケルビン数(6,000K以上)のものは、検査員によっては青色と判定される場合もあります。
後付けデイライトを購入する際は、必ず「白色」と明記されている製品を選び、色温度(ケルビン値)も確認することをおすすめします。
照明部の大きさ
デイライトの照明部の形状は自由ですが、大きさについては「照明部の大きさは、25cm²以上200cm²以下であること」と定められています。これは2個合計の面積ではなく、1個あたりの面積を指します。
市販のデイライトキットを購入する場合は、この基準を満たすものを選ぶようにしましょう。特に小さすぎるデイライトは視認性の観点から基準を満たさない可能性があります。
灯器の状態
デイライトは著しく汚れていたり、破損したりしている状態では車検に通りません。レンズが割れている、変色している、内部に水が入っているなどの状態は不適合となります。
破損した場合はすぐに新しいものに交換する必要があります。また、取り付け部に緩みやガタがあるものも認められません。しっかりと固定され、振動で外れる心配がないことを確認しましょう。
車検前には、デイライトの状態を点検し、汚れがあれば清掃しておくことをおすすめします。
取付位置
デイライトの取付位置も細かく規定されており、後付けの場合はこれらの条件をクリアするのがやや難しい場合もあります。主な要件は次の通りです:
・自動車(二輪自動車を除く)に備える昼間走行灯は、その照明部の最内縁において600mm(幅が1,300mm未満の自動車にあっては、400mm)以上の間隔を有すること
・照明部の下縁の高さが地上250mm以上、上縁の高さが地上1,550mm以下となるように取り付けられていること
・前面が左右対称である自動車(二輪自動車を除く)に備える昼間走行灯は、車両中心面に対し対称の位置に取り付けられていること
また、装着できる個数も規定されており、四輪自動車は左右2個まで(二輪自動車は1個でも可)と決められています。この点も忘れずに確認しましょう。
出典:国土交通省「道路運送車両の保安基準」第202条の2」
走行灯の点滅
デイライトは「点滅するものでないこと」と明確に定められています。つまり、常時点灯するタイプのみが認められており、点滅するタイプのデイライトは車検に通りません。
近年、LED素子を使ったシーケンシャル点灯(流れるように点灯する)タイプのデイライトも人気がありますが、これも点滅と見なされる可能性があるため注意が必要です。車検対応をうたっているかどうかを必ず確認しましょう。
デイライトの代替品に使える「その他灯火類」とは
「その他灯火類」とは、保安基準で装備が義務付けられていないランプ全般を指します。フォグランプ、コーナリングランプ、アンダーライトなど、アクセサリーや装飾用のランプもこれに含まれます。
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「その他灯火類」の規定は継続
デイライトの保安基準が新たに定められても、「その他灯火類」の規定は継続して有効です。つまり、デイライトとしての保安基準をクリアできなくても、「その他灯火類」として装着すれば車検に通る可能性があります。
例えば、光度が1,440cdを超えている場合や、位置要件をクリアできない場合でも、「その他灯火類」の基準を満たしていれば問題ありません。ただし、「その他灯火類」にも独自の規定があるため、それらをクリアする必要があります。
「その他灯火類」の規定とは
「その他灯火類」の規定は「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示の第140条」によって定められています。主な規定は以下の通りです:
・光度は300cd以下であること(デイライトの1,440cdより厳しい)
・フロントとサイドは赤色NG、リア部分は赤・橙・白色がNG
・点滅する、色が変わるものはNG
・突起物はNG
・配線が隠れており簡単に着脱できないこと
出典:国土交通省「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」第140条」
「その他灯火類」としての基準は、デイライトよりも光度制限が厳しいものの、他の面では多少緩和されている部分もあります。特に取付位置などについては、デイライトほど厳密な規定がないため、取付の自由度が高いと言えるでしょう。
ただし、光度が300cd以下という制限は、昼間の視認性という点では物足りなく感じる可能性があります。デイライトとして使用するなら、やはり本来のデイライトの基準を満たした製品を選ぶことをおすすめします。
車のカスタマイズを考える際は、見た目の格好良さだけでなく、法規制にも配慮して安全なドライビングを心がけましょう。
まとめ
デイライトは欧州発祥の昼間走行灯で、安全性向上とスタイリッシュな外観で人気を集めています。日本では2016年の保安基準改正で要件が明確化され、光度1,440cd以下、白色のみ、照明部25cm²以上200cm²以下などの条件を満たせば車検に通ります。取付位置や点滅しないことなども重要な基準です。基準を満たせない場合は「その他灯火類」として光度300cd以下などの条件で装着できる可能性もあります。
愛車のカスタマイズを検討される際は、単に見た目だけでなく安全性と法規制に配慮した選択をすることで、スタイリッシュさと安全性を両立させた快適なドライビングを楽しみましょう。
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