導入文
快適なドライブを実現するコツのひとつが、タイヤの空気圧を適切に調整することです。高めの空気圧に調整したほうが、車内で快適に過ごせるようになります。
しかし、高めといっても具体的な目安がわからないと悩んでいる方も多いのではないでしょうか。しっかり高めの空気圧にしたつもりでも、実際はまだまだ低かったり、反対に高すぎたりするかもしれません。
今回は、タイヤの空気圧を高めにするべき理由と、調整するときの目安を解説します。
タイヤの適正な「空気圧高め」の目安は?
タイヤの空気圧は、高めに調節したほうが良いと聞いたことのある方もいるのではないでしょうか。ある意味正解ではあるものの、「タイヤ空気圧は高ければ高いほど良い」とまでは言い切れません。
空気圧が高すぎると、かえってタイヤ本来のパフォーマンスを低下させるおそれがあります。快適な走行を実現するためには、適した空気圧にすることが大切です。
まずは、タイヤの適正な空気圧について解説します。
タイヤの指定空気圧
基本的には、タイヤの指定空気圧を参考にしましょう。各メーカーが、車種ごとに車両指定空気圧を設定しています。
同じメーカーの車であっても、車両指定空気圧が同じとは限りません。同じタイヤサイズであっても、装着する車種が変われば車両指定空気圧も異なる場合があります。
最適な空気圧は、車種ごとに確認することが大切です。
車両指定空気圧は、車に貼り付けられた空気圧表示シールでいつでも確認できます。運転席側のドア付近や給油口など、比較的見つかりやすい場所に貼り付けられています。
タイヤ交換で銘柄が変わるときは、車種とタイヤサイズに注意しましょう。異なる銘柄でも、同一の車両・タイヤサイズであれば、車両指定空気圧は変わりません。タイヤの外径は変えずにホイールのみを大きくするインチアップの場合は、調整が必要です。
タイヤの空気圧を高める際の目安
一般的な考えとして、タイヤの空気圧は10%程度高めたほうが良いとされています。タイヤの空気は毎日少しずつ抜けており、あらかじめ空気圧を高めに調整しておけば、最低限の指定空気圧を保ちやすくなるためです。
タイヤの空気は、走行していなくとも自然に抜けていきます。何週間も放置すれば、自然な空気漏れで空気圧不足となるおそれがあります。
安全面の観点から、タイヤの空気圧は最低限の指定空気圧を保つことが大切です。厳密に指定空気圧を維持することが理想的ですが、忙しい毎日の中でこまめにメンテナンスすることは容易ではありません。
あらかじめ10%程度高めておくなど、指定の数値を下回らないようにしましょう。
タイヤの空気圧を高めると良い理由
タイヤには、走行時も駐車時も常に車の重量がかかっています。適正な空気圧に調整できていれば、タイヤは車重に耐えられ、快適に走行できます。
反対に適正空気圧を下回った状態では、タイヤが車重に耐え切れず、安全性や快適性にさまざまな影響をおよぼしかねません。場合によっては、事故の要因となります。
適正空気圧は、ドライバーが安全に運転するための指標です。ほかにも、さまざまなメリットがあります。
ここでは、タイヤの空気圧を高めるとなぜ良いのか、3つの理由を解説します。
タイヤの寿命が長くなる
1つ目の理由は、タイヤの寿命が長くなることです。ゴム製のタイヤは、消耗品です。使い続ければすり減っていくため、状態に応じて交換しなくてはなりません。
タイヤを少しでも長持ちさせるためには、摩擦が均等に起こるように、空気圧を適正値に調整することが大切です。
空気圧が低い状態のタイヤは摩擦が均等に起こらず、偏った擦り減り方をします。均等ではないすり減りは走行性にも影響し、タイヤそのものの寿命を短くする要因にもなります。
燃費が良くなる
2つ目の理由は、燃費の良さにも影響することです。前述のとおり、タイヤには常に車重がかかっています。適正空気圧なら車体姿勢を保てるため、燃費良く走行できます。
しかし適正空気圧を下回った場合、空気が少ないタイヤのゴムがたわんで、車軸を平衡に保てません。
偏りが生じたタイヤは走行時の転がり抵抗や摩擦が増え、燃費を悪くします。
一般社団法人 日本自動車連盟(JAF)が2021年に行ったテストでは、タイヤの空気圧が適正値から下回っている場合、下記のように燃費が悪くなりました。
適正空気圧からの差(下回った割合) |
燃費の悪化 |
30% |
4.6% |
60% |
12.3% |
燃費を良くするためには、タイヤに余計な負荷をかけないことが大切です。転がり抵抗や摩擦を最小限に抑えられる適正空気圧なら、燃費良く走行できます。
出典:一般社団法人 日本自動車連盟(JAF)「タイヤの空気圧不足、燃費への影響は?(JAFユーザーテスト)」
操作性の低下を防げる
3つ目の理由は、操作性の低下を防ぎ、安定的に走行できることです。適正空気圧を下回ると、タイヤには偏りが生じます。
タイヤの形がいびつになると、走行中にハンドルを取られかねません。
操作性が低下すれば車体の安定性を損ない、事故のリスクも高くなります。
ゴム製で弾力のあるタイヤには、道路の凹凸を吸収して車軸を平衡に保つ役割もあります。空気圧が低い場合、道路の凹凸を効果的に吸収できません。残った細かい振動はシート越しにドライバーや同乗者に伝わり、快適性を低下させます。
段差を乗り越えるときの振動は、より顕著に伝わるでしょう。ホイールを傷つけるおそれもあります。
タイヤの空気圧を高める際の注意点
タイヤの空気圧を適正値まで高めるときは、いくつかの注意点を押さえておくことも大切です。
ここでは、タイヤの空気圧を調節するときの注意点を解説します。
タイヤの空気圧は高めすぎない
タイヤの空気圧は、高めすぎると弊害が起こるため、適正値を意識しましょう。主な弊害は、下記の3つです。
乗り心地が悪くなる
タイヤの空気圧が低いと振動が乗員に伝わりやすくなります。
一方で、空気圧が高すぎる場合も乗り心地が悪くなるおそれがあります。
空気圧が高すぎるタイヤは、パンパンに張った状態です。タイヤの内側から外側にかけて空気が強く押し出されており、道路の凹凸と反発しやすくなります。車体が跳ねるように感じて、快適性が低下します。
ブレーキの効きが悪くなる
パンパンに張ったタイヤは、道路に接する部分がセンターに集中して、若干盛り上がった形状になります。道路に接する部分が少ないと、転がり抵抗が低くなるため、ブレーキの効きに影響します。
ブレーキをかけるためには、適度な転がり抵抗が必要です。適正値に調整されたタイヤなら、全体的に道路と接するので十分な転がり抵抗が生じます。
偏摩擦が増える
タイヤの空気圧が高く、センター部分が盛り上がった状態で走行し続けると、偏摩擦が増える原因となります。一部分へ摩擦が集中する状態は、パンクやバーストを起こしかねません。
法律的には、タイヤの溝の深さが一定以上であれば使用し続けられます。しかしパンクやバーストなどのリスクがある以上、早急な対処が必要です。足場が悪い道では、特に事故発生のリスクが高くなります。
タイヤの空気圧を測定するタイミングに注意する
タイヤの空気圧を調整するときは、適したタイミングでの計測も大切です。タイヤの内部を満たす空気が熱膨張を起こすタイミングで計測すると、空気圧は実際よりも高い数値が表示されます。
例えば高速道路を走行した後や長距離ドライビングの後は、タイヤと路面の摩擦によって熱膨張しやすいため、空気圧の計測には適していません。
一般的には、高速道路の走行でタイヤ内部の温度は40~50℃上昇します(時速120kmでの走行の場合)。空気圧は冷えているときよりも10~15%高い数値が表示されます。空気圧の確認は、タイヤが冷えて熱膨張の影響がないタイミングで行いましょう。
まとめ
快適かつ安全な走行のためには、タイヤの空気圧をこまめに調整することが大切です。
走行していなくとも、タイヤの空気は時間が経つとともに自然に漏れていきます。10%ほど高めに調整して、最低限の指定空気圧を下回らないようにすると、タイヤを長持ちさせることにもつながります。高すぎず低すぎない、ちょうど良い空気圧に調節することがポイントです。
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